マウスピース矯正
マウスピース(アライナー)矯正とは
マウスピース矯正は、「アライナー」とよばれる装置を使い、歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。
装置は患者さま一人ひとりに合わせて作られ、段階的に交換しながら歯並びを整えていきます。透明な素材で作られているため目立ちにくく、仕事中や人前でも矯正が気づかれにくい点が特長です。
アライナーは取り外しができる装置のため、食事や歯磨きは普段通りに行うことができます。

ワイヤー矯正との違い
マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いは、取り外し式か・目立ちやすさ・どれくらいの症例に対応してるかなどが違ってきます。
| 項目 | マウスピース矯正 | ワイヤー矯正 |
|---|---|---|
| 見た目 | 透明で目立ちにくい | 装置が見えやすい |
| 痛み・違和感 | 少なめ(個人差あり) | 出やすい |
| 取り外し | 食事・歯磨きで外せる | 外せない |
| 清掃性 | 歯磨きしやすい | 汚れがつきやすい |
| 複雑な症例 | 軽度〜中等度の歯並び | 幅広い症例に対応 |
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットと呼ばれる固定式の装置を装着し、ワイヤーの力で歯を動かしていきます。歯の細かな移動や、複雑な症例への対応力が高い方法です。一方で、装置が見えやすい、食事中に食べたものが詰まりやすいなど、日常生活で不便に感じやすい面もあります。
マウスピース矯正は、取り外し式の透明な装置を使用するため、見た目の負担が少なく、装置特有の引っかかりも少ない方法です。ワイヤー矯正に比べると日常生活のストレスが少ない一方で、1日20時間以上の装着が治療の進行に影響します。
一方で飲み物については、色の濃い飲料や糖分を含む飲み物でアライナーが変色したり、むし歯の原因になることがあるため、飲む際はいったん外していただくと安心です。
マウスピースの種類
マウスピース矯正には、全体の歯並びを整える「全顎矯正」と、気になる部分だけを動かす「部分矯正」があります。どちらが適しているかは、精密検査でかみ合わせや歯列全体のバランスを確認し、治療の目的に合わせて判断します。
また、マウスピース矯正には複数のブランドがあり、医院によって使用しているメーカーが異なります。素材や仕上がり、得意とする歯の動きにも違いがあるため、当院では患者さまの症例に合った装置をご提案しています。
マウスピース矯正の流れ

カウンセリングと初診相談
まず現在のお悩みや希望を伺い、歯並びやかみ合わせの状態を確認します。
治療の必要性や、マウスピース矯正が適しているかどうかを説明します。
一般的な治療期間や費用、他の矯正の選択肢についてもこの段階でご説明しております。治療に対して不明な点・心配な点があればお気軽にご相談ください。
精密検査と治療計画のご提案
レントゲン写真、口腔内スキャン、口腔内写真などを用いて詳細な分析を行います。
その結果をもとに、患者さまごとの治療期間や必要なステップをわかりやすくご説明します。
検査の段階で虫歯や歯周病の所見が見られた場合は、そちらの治療を終えてから矯正をスタートさせます。
マウスピース製作と治療開始
検査データをもとに、専用のマウスピースを製作します。装着方法やお手入れについてお伝えし、治療がスタートします。
マウスピースの種類によっては、治療開始前にすべてのステップ分をまとめて作成する場合と、治療の進み具合を見ながら段階ごとに作成する場合があります。歯の動き方や症例に合わせて、最適な方法をご案内します。
治療期間と交換サイクル
1〜2週間ごとに新しいマウスピースへ交換をして、少しずつ歯を動かしていきます。通院は1〜2か月に一度が目安で、治療の進み具合を確認します。
全体的な治療の期間は1年〜2年程度ですが、矯正する範囲や歯並びによってこの期間は変わります。
矯正後の保定とアフターケア
矯正治療で動かした歯は、そのままにしておくと元の位置へ戻ろうとします。治療後は「保定装置(リテーナー)」を使用し、歯の位置を安定させる期間が必要です。
保定期間中は、装置の使用状況やかみ合わせの変化を確認するため、定期的に通院していただきます。せっかく整えた歯並びを長く維持するために、適切な保定とアフターケアが欠かせません。
メリット・デメリット
マウスピース矯正には、日常生活の負担を抑えながら歯並びを整えられるメリットがある一方で、装着時間や症例によっては注意が必要な点もあります。治療を検討する際の参考にしてみてください。

メリット
- 透明で目立ちにくく、仕事中や人前でも気づかれにくい
- 取り外しができ、食事や歯磨きが普段どおり行える
- 金属を使用しないため、金属アレルギーの方も安心
- ワイヤー矯正に比べて痛みや違和感が少ない傾向
- 口腔内を清潔に保ちやすい
デメリット
- 1日20時間以上の装着が必要で、自己管理が不十分だと効果が出にくい
- 大きな歯の移動や複雑なかみ合わせには向かない場合がある
- 適応外の症例もあるため、ワイヤー矯正を併用する判断が必要になることがある
- 外し忘れや紛失など、患者さまの生活習慣に影響を受けやすい
- マウスピース矯正だけでは目標の歯並びにならないケースもある
マウスピース矯正が適している方
マウスピース矯正が適しているかどうかは、かみ合わせの状態や顎のバランスだけでなく、装置の特徴と患者さま自身の生活スタイルが合っているかも大切なポイントです。

適しているケース
- 前歯の軽度〜中等度の重なりやすき間を整えたい
- 仕事や人前で話す機会が多く、装置の見た目を気にしたくない
- 取り外しができる装置で、食事や歯磨きを普段どおり行いたい
- 1日20時間以上の装着を守れる(自己管理が得意)
注意が必要なケース
- 抜歯が必要なケースなど、大きな歯の移動が求められる
- 上下のあごの位置に問題がある「骨格性の不正咬合」
- 歯のねじれが強い、奥歯を大きく動かす必要があるなど複雑な症例
- 成長途中の子どもで、乳歯と永久歯が混在している
- 装着時間を確保するのが難しい生活環境の方
マウスピース矯正は、ライフスタイルとの相性も治療の成功に大きく関わります。当院では精密検査をもとに、マウスピース矯正が適しているか、または他の矯正方法がより良いかを丁寧にご説明します。無理のない治療方法を一緒に検討していきましょう。
当院のマウスピース矯正について

幅広い矯正治療から最適な方法を選べる体制
当院では、マウスピース矯正だけでなく、ワイヤー矯正・舌側矯正・部分矯正にも対応しています。歯並びやかみ合わせは一人ひとり異なるため、複数の治療方法を扱っていることで、無理のない選択肢をご提案できます。
マウスピース単独では対応が難しいケースも見落とさず、必要に応じてワイヤー矯正との比較検討や併用も行います。治療方法に迷われている方も、安心してご相談ください。
矯正専門医による精密な診断
マウスピース矯正は、あらかじめ作成した治療計画に沿って歯を動かす方法です。
そのため、 最初の診断と治療計画の精度が、治療全体の仕上がりを左右します。
特に以下の点は、初期段階で決まる大切な要素です。
- 歯の移動量
- 動かす順番
- アタッチメントの位置
また、マウスピースによっては段階ごとに装置を作成するタイプもありますが、それでも初期計画が治療の「基準」となります。適応が難しい症例や微調整が必要なケースでは、最初の見極めが非常に重要です。
当院では、矯正治療を専門とする歯科医師が、適応の判断から治療の進行管理まで担当します。長期的に安定したかみ合わせを見据え、患者さまにとって無理のない治療計画をご提案しています。
負担の少ないデジタル型取りで治療精度を向上
型取りには「トリオス」と呼ばれる口腔内スキャナーを使用しています。お口の中をカメラでなぞるだけで3Dデータを取得できるため、従来の粘土のような型取りが苦手な方でも、負担の少ない検査が可能です。
デジタルデータは細かな歯の形や動きまで反映できるため、マウスピースの精度が高まり、装置のフィット感も向上します。治療中のずれを防ぎ、スムーズに治療を進めやすい点もメリットです。
費用とお支払い方法

マウスピース矯正の費用は、歯並びの状態や治療の範囲によって大きく変わります。一般的な目安は次のとおりです。
- 部分的な歯並びの調整:数十万円台
- 全体の矯正治療:60万〜100万円前後
治療前には、検査結果をもとに必要な費用を明確にお見積もりさせていただきます。
気になる点があれば、カウンセリング時に遠慮なくご相談ください。
安心して始めやすい料金と支払い方法
矯正治療は一度にまとまった費用が必要になることが多く、費用面の不安から治療を踏み出せない方も少なくありません。
当院では、できるだけ負担を抑えながら通院を続けていただけるよう「12回の分割払い」に対応しています。毎月の支払額が一定になるため、生活費との調整がしやすく、無理なく治療を始めやすい体制を整えています。